不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

聖也side

聖也side

そっと、音が鳴らないように彼女の部屋の玄関ドア閉めて、急いで向かう自分の部屋。ドアの鍵を取り出し鍵穴に差し込むが動揺しているせいか穴になかなか入らず焦り、やっと開いたドアを慌てて開けて、玄関内へ。

そして、そのままうずくまり顔を覆う。

うそだろ…如月が俺のことを好きって。

かなり動揺している自分にも驚いている。

普段から、自分に対して距離感を感じていた。

他の同僚とは、普通に接しているし、笑ったりもする彼女は、自分と対応する際は、視線も合わず、終始、淡々とした態度と話しかたに、最初は、上司と部下だからだろうと思っていた。

だが、怖い顔の鬼束課長の前では、他の同僚のように笑顔を見せる。

なぜ?

自慢じゃないが、昔から俺の容姿は女がいうとこの、かっこいい部類に入るらしく、俺を見るだけで年齢問わず頬を綻ばせるし、笑顔を見せれば頬を染めていた。

社会人になり、公私を分け、この外見から皆が思う自分のイメージを壊さないように、穏和な話し方を心がけ、気配りも忘れない。

実際は、外見に似合わず性格は悪いと思うし、言葉使いも乱暴な方だと思う。

男女への対応の差はあるだろうが、スペックを身につけた俺が女に嫌われる理由がないと思っていたのに…如月 香恋。
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