不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
それから、彼女を必ず口説き落とす為の作戦として、タイミングを見計らい食事に誘った。
『で、ご飯行くよね⁈』
『…居座られても困るので行きますよ』
目を逸らし、無表情に徹しようとしているが、頬がほんのり赤い。
ツンデレなのか?
そうか、今までもそうだったのかもしれないと思うと、気分が上がり、彼女の頭を撫でていた。
そんなことを無意識にやってしまった自分に驚き、慌てて出てきてしまった。
が、シャツを着ていないことにすぐ気づき、戻ろうとしたら
『あーもう。主任…好き』
と、彼女の悶える声が聞こえドキドキして、動揺しながら部屋に辿りついたのだった。
「体目当てじゃなく、俺が好きだから襲ったのか…」
彼女の気持ちを知って、気がつかないふりをしたままセフレになんてできない。
なら、普通に付き合えばいいんじゃないか?
かわいいと思うだけで付き合えるほど、俺は若くなく、付き合ったとしても、本気で恋愛なんてしてこなかった俺は、きっと、彼女の気持ちに応えてあげれない。
このまま、聞かなかったことにして、なかったことにしようと決めた。
決めたのに、彼女の心を知り、どこか浮かれている自分がいて、緩む頬を両手でパンと叩き、己自身を叱責した。