不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

同僚以上の気持ちを持つべきではない。
そう思うのに、抱いた時の彼女のひとつひとつの仕草に、可愛らしく喘ぐ声が脳裏から出ていかない。

頭を冷やす為に、シャワーを頭から浴びるが、忘れられない。

自慰なんて、いつ以来だ?

スッキリどころか、羞恥心しか残らず、虚しく隣の壁を見つめた。

夕方、彼女との食事へ行く準備をしていて、財布を開ける。

数枚の千円札しかない中身。

お金をおろしてくるか…

そんなものは言い訳で、財布にはカードもあるし、スマホ決済だってできる。

それなのに、わざわざコンビニへ足を運ぶ理由が欲しかったからだ。

お金をおろして、ついでとばかりに愛用のパッケージを手に取ったあと、隣の棚が目に入った。

化粧品類とメイク落としシート。

男の俺には必要ない物だが、何人かの女達がそれを使っていたからだろう。

無意識に、メイク落としシートも手に取ってレジへ向かった。

何してるんだよ…

必要ないだろ。

マンションへ帰る道、自分が待つコンビニ袋の中で、ただ2つだけがあり、生々しく、今夜も彼女と過ごす気でいる自分がいた。

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