不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「なら、ジンフィズとか。ベースにガムシロとレモンをシェークして炭酸で割ってるから、さっぱりして飲みやすい。炭酸が苦手なら別の薦めるけど」
「ジンフィズにします」
浮かれている私は、主任のお勧めばかり聞いてるが、嫌な表情もせず、私の為に考えてくれる姿が嬉しい。
彼の特別になった気になる。
ジンフィズは、ガムシロの甘さがあるが、レモンと炭酸でさっぱりとしていて飲みやすい。
「どう?」
「はい。美味しいです。これなら、何杯でも飲めそうです」
「気に入ったなら、よかった。けど、アルコール強いから、飲み過ぎ注意だ」
「えー、苦手だけど、弱いわけじゃないんですよ」
「そう思ってると、潰れるぞ。男が女を潰してお持ち帰りする為に薦める酒の一つだ」
揶揄い口調に、少し、アルコールを摂取して砕けだした私は、思い切ったことを口に出してしまう。
「主任は、私をお持ち帰りしたいんですね」
グホッと、飲んでいたビールを吹き出す主任に、してやったりと笑った。
「お前…ほんとに潰すぞ」
口元を手の甲で拭った主任は睨みながら脅してくるが、頬は、照明のせいなのか赤く見える気がする。
「まだ、根に持って揶揄うから仕返しです」
「あっ、そう。…なぁ、あんなこと、他の奴にもするなよ」