不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

「なに帰ろうとしてるんだよ」

ここ会社ですよ。素の主任が出てます。

「えっと、小野田さんに待ってもらってるので、帰ろうかと…」

「待たせておけ。それより、香恋とキスしたい」

「……なんて言いました?」

「キスしたいって言ったんだよ」

ガバッとチェアーから立ち、デスクに手をついてキスしようと顔を近づけてくる主任の顔を両手で止めた。

「おい、こら。拒否るとは、いい度胸だな」

「あの…その前になんて言いました?」

「香恋、キスしようか」

聞き間違えじゃないことに、私の無表情が真っ赤になり崩れる。

「うわっ、真っ赤か。香恋、かわいい」

「やめてください。突然、どうしたんですか?名前呼ぶなんて、びっくりします」

「呼びたかったから…これからそう呼ぶし、ほら、早くキスしよう、なぁ⁈俺を焦らすなよ」

両手を拘束されて、唇が触れる。

ただ、触れるキスから、唇を喰んで、甘く噛んで離れていく。

まだ、真っ赤なままの私の頬を指先で撫で、楽しげに笑う。

翻弄されて悔しくて、でも、嬉しくて…

「週末は、一緒に過ごすからな」

「…はい」

「…あんまり会えないから、補充」

そう言って、また、唇に触れるだけのキスをして、ギュと抱きしめて「行きたくねー」と本音を暴露してくる。
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