不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「そっちの話を聞かせてもらうわよ」
お持ち帰りしたことは伏せて、実はお隣さんだったことと、お互い合意で寝たことを話した。もちろん、主任の夜のあれこれは伏せてだ。
「それで、デートは楽しかったんだよね」
「ご飯を食べてきただけだから」
「それをデートと言うんじゃない。何着てこうか悩んで相談してきて、デートじゃないなんて言わせないわよ。まだ、話してないことあるでしょ?いいなさい」
「そうだよ。香恋ちゃんの相談のってる間、俺は待て状態だったんだからね。詳しく聞く権利はある」
「バカ」
「待てって?」
「もう、黙ってて。斗真はほっといていいから。で、付き合うことになったんでしょ」
「付き合ってないよ」
「『はぁあ?』」
カップル2人の声がハモった。
「えっ、どういうこと。ちょっと前に、キスしてきましたみたいな顔させてきて、首のギリギリラインのキスマークする男のくせに、何してるの?ヘタレなの?ねぇ…」
「うわっ、待って。優香ちゃん、俺のせいじゃないからね。ビール溢れてるから、落ち着いて」
怒りの琴線に触れたらしく荒れる優香をなだめる斗真さんも、「あの人、なにやってるんだ」とぼやいていた。