不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

「付き合うって話がないだけで、週末は一緒に過ごす約束したし、連絡先も交換したよ。今は、それでいいんだ」

私なりに、主任を援護してみた。

セフレですとは、さすがに2人には言いにくいが、斗真さんは、何か気がついているらしく、憐れみの目を向けてきていた。

「香恋は、優しすぎるよ。はっきりしない男なんて、やめちゃえって言ってしまいたいけど、香恋が納得してるなら見守るけどさ、いつまでもそんな関係つづかないよ」

「うん。ありがとう」

そして、主任のいない抜けた穴は大きく、皆、多忙なる。

どれだけ、主任の仕事量が多かったかと、知ることになる。

それらをすまし顔で、やってのけてたのだから、できる男なのだ。

同じ敷地内にも関わらず、偶然にすれ違うこともなく日々は過ぎていく。

連絡先を交換したが、週末は一緒に過ごしているので、特にメールする内容もない。

月次締日があった週末、部屋に着いて靴を脱いだ時、一件の通知が届いた。

『やっと、1ヶ月が終わった』

主任からの初のメールだった。

『お疲れ様でした』

色気もない返事に、『癒される』と返ってくる。

『もっと、癒しが欲しいんだけど、香恋は、今、どこ?』

『家に着いたとこです』
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