不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
いろいろと、主任の暴露話が出て、面白楽しく時間が過ぎていた。
そして、お店を出てから自然と手を繋いで歩いている。
あんなに盛り上がっていた会話なのに、2人きりになると静かなものだ。
ドキドキする音が、聞こえるんじゃないかと思うほどの静かな道。
マンションのお互いの部屋の前まで来たが、手を離せないでいる。
先に声を出したのは主任だった。
「…このまま帰したくない」
そのセリフを待っていた私は、主任の胸に飛び込んで唇目掛けてキスをした。
キスをしながら、主任は器用に部屋の鍵を開けて、玄関へと導いていく。
チュッ、チュッとリップ音を鳴らして、お互い、自分の服を脱ぎながら続くキス。
たった数日前に抱きあったというのに、何年も会えなかった恋人達のように、心が急ぐ。
そして、上半身を脱ぎ終わった主任は、私の服を脱ぐ手助けをしてくる。
どこか余裕がない表情で、「香恋、かれん」と、何度も名を呼んで「主任…主任」と、その度に返して、一つに溶け合うように、激しくお互いを求めて…なのに彼らしくない優しい手つきに心を乱され、愛されていると錯覚させられる。
そんなはずはないのに…