不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
そこそこ美人で気が強く、プライドが高い彼女は、男を、自分の下僕、ペットやアクセサリーと勘違いする節がある。
俺のように顔立ちのいい男には、猫を被って中村のようなあざとい面を見せる一方で、失礼だが顔立ちがパッとしない男には、冷たい。いや、奴隷のように扱うのだ。利用するだけ利用する。
一昨年、それが問題に上がり、注意を受けてもなんら変わらないということで、製品管理課の主任に出世という名目をつけて、女だけの部署に追い払われたのだが、やはり、問題がおきたようだ。
今まで、関わらないよう距離を置いていたが、今後考えられる内容に頭が痛くなる。
その日、留守にする間の仕事を山崎や高木達への振り分けやら、指示内容やら大忙しとなる。
本来、上司の課長の仕事内容を、大雑把なあの人の代わりにしているようなものなので、任せられない。任せたら戻ってきた時の惨劇が目に浮かび、それなら、今、酷い目に合う方が断然いいと、頑張っていた。
あー、癒しが欲しい。
香恋の唇に触れて、俺仕様に乱れる体を堪能して、甘やかして、一日中、くっついていたい。
そう思っていたら、ドアから覗く香恋に気がつき、心が浮き立った。
かれんだ…香恋がいる。