不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

手招きすれば無表情ながら、俺だけがわかる表情で嬉しそうに変化させて、側までくるのだ。

ほんと、可愛いんだよな。

とりあえずデスクの端に座らせ、差し入れをもらったら、俺の好きなマスタードのきいたウインナーの惣菜パンと、好んで飲む缶コーヒーが入っていた。

俺のことよく見ているんだよな。

そんなに俺が好きなのかと愛しくなる。

照れたように目元が緩む香恋にキスしたくてたまらない。

これからの災難に向けて頑張っている俺に、神様が香恋を寄越してくれたのかと、こういう時だけ神様に感謝する。

社内だが2人の空間で、小野田を待たせているからと帰ろうする。

なんだよ…俺より小野田か?拗ねるぞ。

「待たせておけ。それより、香恋とキスしたい」

心で、既に名前呼びしていたせいで、ポロッと名前を呼んでしまった。

驚いて、戸惑っている。

呼んでしまうと、自分の中でしっくりくるものがある。

これからそう呼ぶと宣言して、今度こそ唇に触れた。

焦らされた分の唇の感触は、最高で…、さすがに、社内で舌を入れたら、俺の方が止まらなくなりそうで、何度も唇を喰んでから、名残惜しくて下唇を軽く噛んだ。
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