不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「斗真、たまにはいいこと言うじゃないの。さすが、私の男ね」
バシバシと斗真さんの肩を叩く優香に、斗真さんは嬉しそうに「でしょ」と得意げです。
「優香ちゃん、後でご褒美ちょうだい」
ぼ、ぼ、ボッと火がついたように真っ赤な優香。
「もう、可愛いな…好きだよ。早く帰ろうよ」
「…香恋の前なのに、ばかー」
顔を真っ赤にさせたまま、斗真さんの胸目掛けて、優香の連打の平手打ち。
「仲良しだね…惚気にあてられて、今の私には辛いわ。ちなみに、ここカフェだからね」
好きって言ってもらえる優香が妬ましく、少しだけ、ちくりと嫌味が入る。性格悪くてごめんなさい。
「ごめん」
「ごめんね…香恋ちゃんさ、悩むぐらいなら、当たって砕けろだよ」
秒速でバカと優香からの突っ込み。
「えっ、砕けちゃうの?」
「あっ、ごめん。言葉のあやっていうか、悩んでても、関係は進まないでしょう。聖也さんが動いてこないなら、香恋ちゃんから行動しないと、恋人未満のまま。それでいいの?」
「何人かの1人なんていや」
「頑張っても振り向かないなら、いい男紹介するよ。そんで、聖也さんに手放したこと後悔させようよ」