不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

そう思うと、週末しか香恋に会えない辛さを、ため息と共に、気がつかないふりをして、遠回しに彼女と結婚を考えていると逆に相談してやれば、あからさまにショックを受けていた。

それで、諦めてくれると思っていたが、自分に自信がある彼女は違った。

アプローチを続ければ、俺が自分に振り向くと思っているらしく、偶然を装って、俺の行きつけの店に現れたり、仕事帰りに同じ方向を装い俺の後を歩いて来るので、女の怖さに毎夜、高木を呼び出し、どこか飲みに出て飯島を避け続け、真っ直ぐ住まいに帰れない日々。

下手に自分に自信のある女は、厄介で困る。

チャンスや隙を見せれば、男は、簡単に堕ちると思っているのだ。

今は、まだ、冷たくあしらうこともできず、この女とまだ同じ職場で仕事をしなければならない。

それを考えると、残りの時間を穏便に過ごす為に、我慢するのだ。

香恋との週末だけの癒しを生きがいに、乗り切っているというのに、彼女は、小野田と会う約束をしていると言いだす。

俺と違って、毎日、会社で顔を合わせているのに、休みの日までと言われて不満が募る。彼女の休日の過ごし方に不満をいうわけにもいかず、女同士の付き合いもあるだろうと、余裕ぶって行かせた。

行かせたが…胸の奥から込み上げる何かがあった。
< 95 / 183 >

この作品をシェア

pagetop