不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
自分が本気になって傷つくのが怖くて、軽く付き合ってきたスタンスを崩せなかった俺。
相手の好きの重さが多いほど、自分の方が優位な位置で、恋愛ができる。そう思っていたから香恋の方から好きと言わせて、絆された感じで恋人になれば、本気になったわけじゃないと言い訳できると思っていた。
本気なら、俺を落としてみろと余裕ぶっていたが、とっくの昔に香恋に恋して、離せないないほど溺れている俺。
俺にバレていないと思っている香恋の気持ちを利用して、曖昧なままズルズルと関係を結んで、恋の比重のバランスをとっていた。
だが、もう、完全に俺は、彼女に恋しているのだと気づいてしまった。
高木のおかげなのが、腹立たしいが…
皆の前で子犬男子を演じているが、腹黒いという言葉が似合う男が高木だ。
あいつのことだから、小野田を自分のものにした今、2人の時間を邪魔されたくないのだろう。
ここ数日、連続して、仕事帰りに俺に呼び出され、週末は、香恋に邪魔されていては、高木としては、迷惑でしかないのだろう。
香恋への気持ちに気がついたから、今なら、その気持ちもわかってやれる。
さっさと俺とくっつけて、小野田が香恋に割く時間を奪いたいのだ。