不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
それで、わざとこんなメールよこした理由も、決して、俺や香恋の為とかではなく、自分の為で、俺を煽って、さっさと来て、なんとかしてくれという催促のようなもの。まんまと俺は、奴のこざかしい罠に誘われてここまでやってきたわけだ。
邪魔されて迷惑と、思い切りそんな顔をして俺を睨んでたが、小野田に連れて行かれ、満足顔で、デレていたから、いいのだろう。
兎に角、あいつは、そういう男だ。
純粋な香恋は、高木の行動は、親切心が暴走したぐらいに思っているはず。
自分の理に叶う行動しかしないというのに、誰もがだまされている。
まぁ、俺と似た者同士なので、馬が合うのも納得。
それよりも、冷静でいられず目の前の香恋を怖がらせている現状。
女の機嫌を伺うなんて初めてで、どうしたらいいかと悩む。
目を彷徨わせ、俺を見ようともしない。
やっと、自分の気持ちに正直に向き合えたのに、香恋に嫌われては、何も始まらない。
俺は、冷静になろうと店員にアイスコーヒーを頼んだ。その後、ジュースに手を伸ばした香恋の手を握り、表情を伺う。
顔を赤くしている感じから、嫌われてはいないと思う。
さて、どうしたら、この気まずい空気を払拭できるのだろう。