いたい、いたくない
──かぷり
目の前のふわふわが、わたしに噛みついた。
今日は優しめだと思っていたのに
刹那、鎖骨に思い切り歯を立てられる。
「っぁ…いたいよ、真純(ますみ)くん」
栗色で、繊細なふわふわを
思わずぎゅっと掴む。
痛みに呻くわたしの声が、
静かな空き教室に溶けた。
時折、歯で傷つけた所をぺろりと舐められて、痛みがじんわり沁みていく。
「いたい…やだ…っ」
目の前のふわふわ──真純くんの髪の毛を掴むわたしの手に、さらに力が入った。
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