いたい、いたくない


「……いたい、よ」


喉がつまる。

どうして、こんなに答えづらいんだろう。



「…………千花」


また、名前を呼ばれる。
優しくて、哀しげ。




「俺も……いたい」



切ない声とともに、柔らかく、くちびるが包みこまれた。

噛みつくんじゃない、キス。



何度も何度も離れては触れて。

縋るように甘えるように、繰り返された。


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