いたい、いたくない


すると真純くんはほんの少しだけ唇を離して



「千花(ちか)…うるさい」



静かに吐くと、また噛みついた。


声のトーンは低くて落ち着いているのに
わたしを壁に押さえつけるその手はとても
乱暴で。



いたくて、離れたいのに

真純くんは絶対に逃がしてはくれない。



「離…してっ」

「離さない」



真純くんの標的が、上へ上へと流れ

今度はくちびるに噛みつかれた。



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