いたい、いたくない
◆◆◆
真純くんを連れ去ろう。
連れ去って、抱きしめて、キスをして。
鎖骨に噛みつこう。
真純くんの気持ちに応えられなくても、その皮膚に噛みついて、優しい毒を飲み込めば
真純くん以外じゃ、きっとだめになる。
そして囚われたわたしはまた何度でも噛みついて
痛みで真純くんの「いたい」を消すんだ。
痛くなくなるまで痛みを与えて
痛いほど愛を与え合えば
わたしたちはもう
「いたくない」───よね?
Fin