いたい、いたくない
「んんっ」
噛みつかれた、くちびる。
鉄っぽい味を感じた。
真純くんが離れると、ボタッとくちびるから液が垂れる。
真純くんはそれを指ですくいとって
ぺろりと舌で舐めとってしまった。
飲み込まれるのは赤い滴(しずく)。
わたしの…血。
「ねぇ…千花、やめてほしい?」
やけに優しい声に、うなずく。
その拍子に溜まっていた涙がこぼれた。
そんなわたしを真純くんはじっくりと眺め、目を細め
「残念……可愛いから、やめてあげない」
首筋に顔を埋めた。