叶わない、それでも……



クララは金持ちの娘とは思えないほど、心が綺麗で優しい人だった。それに触れるたび、僕の中で想いは大きくなっていくんだ。

誰よりも綺麗な人なのに、決してそれを他の女の子みたいに自慢したりなんかしない。パーティーでもいつも隅っこにいて目立とうとはしないんだ。そして、人が嫌がることをお嬢様なのに進んでしたり、悪口を言われても優しさを捨てたりしなかった。

僕は何度もクララを悪く言おうとする奴らを殺そうとしたけど、クララが優しく微笑んでいたから、その気持ちが沈んでいった。優しいこの子はきっと、嫌いな人が死んでも涙を流せる人なんだろう。

「クララ……」

僕は熱を帯びた目でクララを見つめる。その目が合うことはないし、この声は届かない。だって僕はクララを護るのが役目。恋仲になってはならないから、姿を現せないようになっている。

「想うことだけは許してくれないかな?」

この恋の結末はわかっている。君は、僕の気持ちを知らないまま他の人と結ばれる。わかっていても、想いを捨てられないんだ。
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