叶わない、それでも……
「きっとあの男ならクララを幸せにできるよね」

幸せそうなクララを見つめ、僕はフッと切なげに笑う。こんなに胸が痛いなんて、失恋した人は大変だな。叶わないって覚悟してたけど、クララの隣に誰かが立つなんて嫌だ。でも、これが僕の運命だから……。

「二人のキューピッドになるよ」

僕はそう言い、力を使った。



数年後、クララは綺麗なウエディングドレスを着て幸せそうに微笑んでいた。その隣にはあの時、僕がくっつけた彼がいる。

今日は二人の結婚式だ。クララの想いを抱いたまま、僕は二人の門出を見ることになる。

「クララ、本当に綺麗だな」

心も、容姿も、全てが美しいクララに似合うドレスだ。できることなら、この想いを振られるとわかっていても伝えたかった。

僕の瞳から涙がこぼれ落ちる。僕は泣きながら力を使い、二人を祝福するんだ。

「綺麗……」

空にかかった虹を見て、クララは家族になった人と微笑み合う。僕はクララのその顔が好きだから、祝福するんだ。
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