Dear my star
「焦る必要はないよ、まだ一年なんだし。その時期はほかのクラスメイトもまだ進路を決めれてない奴らが多かったから。将来何をしたいか、真佳なりに真剣に考えていけばいい」
「……そっか」
プリントを見つめながらそう呟く。
それでもやっぱり、もう将来を考えなくちゃいけないということにどうしても気持ちが焦ってしまう。
せめて、大人の人から話を聞けたらいいのになぁ。
うーん、と首を捻っていると、横から手がすっと伸びてきてその手が私の顎を捉えた。
くいっと横を向かせると、息をする間もなく唇に温もりが落ちてくる。
ゆっくりと唇が離れれば、熱を帯びたお兄ちゃんの目が私を射抜いた。
「顔真っ赤」
「……だって、真守が急に」
赤い頬を見られたくなくて、お兄ちゃんの胸に顔をうずめる。
お兄ちゃんは私の頭に手を回して抱きしめると、私の耳元に顔を寄せた。
「……あんまり、急いで大人になろうとしないで」
その声が震えているような気がしてハッと顔を上げる。
「真守……?」
見上げたお兄ちゃんの表情はいつもと変わらず優しい目で私を見ていた。
「……ん、ごめん。なんでもないよ」