Dear my star
お兄ちゃんは小さく首を振って手を離した。
「で、もう片方の耳はどうする?」
思い出したようにピアッサーを持ち上げたお兄ちゃんに、私は唸り声で返事をした。
正直、片方の耳を開けた段階でギブアップに近い。
もう片方の耳もあの痛みが来るのかと思うと、気が進まなかった。
そんな私の様子に、お兄ちゃんは呆れたように笑った。
そしてピアッサーをじっと見つめたかと思うと、「……俺が開けようかな」と呟く。
「ま、真守が開けるの? 学校でも優等生の、真守が? 先生たち、びっくりしたりしないかな……?」
「別に好き好んで優等生やってる訳じゃないよ。無駄にするのもったいないし」
でも、といい籠もる私に対してさっさと覚悟を決めたらしく、手鏡を持った次の瞬間バチン!と鈍い音が響いた。
いてぇ、と渋い顔をしたお兄ちゃん。
手を離すと、右耳には私と同じ金色のピアスが輝いている。
「これ、思った以上に痛いね」
ひい、と顔を顰めたお兄ちゃんは肩を竦めた。