Dear my star
小児病棟に戻る途中で、正樹叔父さんのスマホがなった。
「先に戻ってて」と言われて、一人でナースステーションに戻る。
看護師さんたちに挨拶をしてから帰ろうとしたけれど、ほとんどの人たちが出払っているらしく人気がなかった。
どうしようかな、と首を捻ったその時、
「こんにちは、正樹くんいますか?」
私の隣に立った誰かがナースステーションの中の看護師さんにそう声をかけた。
ちらりと視線を向けて、「え、」と目を見開く。
その声に気がついたその子は、不思議そうに振り向いた。
「あれ、真佳ちゃん?」
「凛、ちゃん……」
パジャマ姿の凛ちゃんがそこに立っていた。
別荘で会った時よりも少しこけた頬に白い顔、細い手首には入院患者であることを示す名前の書かれたリストバンドが巻かれていた。
直ぐににっこり微笑んだ凛ちゃんは首を傾げる。
「どうして真佳ちゃんがここに?」
「正樹叔父さんに、会いに……」
「あ、そっかー。正樹くんって生田正樹だったか。へえ、真佳ちゃんの叔父さんだったんだ」