義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
合宿所についたのは昼前だった。学食のご飯のようなメニューのお昼ご飯を合宿所で食べて、午後はフィールドワークというものをした。
フィールドワーク、というのは本当は学問的な調査、とかそういう意味があるらしい。
けれどこの学園の合宿では、そんなかしこまった意味ではない。単に野外でのワーク、つまり活動を総合してそのように呼んでいるのだと。
去年は山のほうへハイキングだったそうだ。一昨年はバードウォッチング。ほかにはナイトウォークとか、スタンプラリーとか、種類が色々あるらしい。
なにをやるかは毎年、実行委員会が決める。なので総合的な呼称である『フィールドワーク』という呼ばれ方をしているのだと。
今年はスタンプラリーだった。合宿所から出発して、チェックポイントのスタンプを集めていくという、簡単だけど楽しいイベントだ。
スタンプラリー、といったって、普段とまるで違う場所に来ているのだ。周りのことなんてなにも知らない。合宿が今年初めてな梓はほかの子よりも余計に、である。
地図を見ながら道を考えて、進む。普段、知らない場所に行くときはスマホのナビなんかを見てしまうけれど、このときスマホは禁止だ。配られる紙の地図を見る。
紙の地図の読み方は知っていても、あまり使う機会はない。なので、なんだか宝の地図でも見ているような気持ちになって、わくわくとしてしまったものだ。
友達同士で組むほかに、くじ引きで決まったほかのクラスや学年のひとたちとペアになる。
梓はもちろん渉と一緒になれればいいな、と思ったけれどいかんせん確率が低すぎることだ。当たり前のように、まったく違うひとたちとペアになってしまった。
残念に思いつつも、仕方がない。そのひとたちと参加したスタンプラリーもそれなりに楽しかったので不満はなかった。
それより夕ご飯のバーベキューのほうが重要だった。バーベキューは大勢でおこなう。よって、グループが固定されてしまうスタンプラリーよりも、多くのひとたちと関われるのだから。
鉄板もアミも、巨大なものがいくつも置かれた。ただ、並べられてではなく、散り散りにである。
そしてどの鉄板を使って焼いたり、あるいは取って食べたりというのは決められていない。
つまり、好きなところへ行って食べることができるのだ。
学園の王子様である渉だ。近くで一緒に過ごしたいという女の子は多いだろうが、少しくらいは一緒に過ごせるだろう。
そういう期待が梓にはあった。同じグループに渉のことが好きな雲雀がいることも手伝って、ちょっと勇気はいるけれど、三年生のいるところへ行ってみようよ、という計画を立てていた。
フィールドワーク、というのは本当は学問的な調査、とかそういう意味があるらしい。
けれどこの学園の合宿では、そんなかしこまった意味ではない。単に野外でのワーク、つまり活動を総合してそのように呼んでいるのだと。
去年は山のほうへハイキングだったそうだ。一昨年はバードウォッチング。ほかにはナイトウォークとか、スタンプラリーとか、種類が色々あるらしい。
なにをやるかは毎年、実行委員会が決める。なので総合的な呼称である『フィールドワーク』という呼ばれ方をしているのだと。
今年はスタンプラリーだった。合宿所から出発して、チェックポイントのスタンプを集めていくという、簡単だけど楽しいイベントだ。
スタンプラリー、といったって、普段とまるで違う場所に来ているのだ。周りのことなんてなにも知らない。合宿が今年初めてな梓はほかの子よりも余計に、である。
地図を見ながら道を考えて、進む。普段、知らない場所に行くときはスマホのナビなんかを見てしまうけれど、このときスマホは禁止だ。配られる紙の地図を見る。
紙の地図の読み方は知っていても、あまり使う機会はない。なので、なんだか宝の地図でも見ているような気持ちになって、わくわくとしてしまったものだ。
友達同士で組むほかに、くじ引きで決まったほかのクラスや学年のひとたちとペアになる。
梓はもちろん渉と一緒になれればいいな、と思ったけれどいかんせん確率が低すぎることだ。当たり前のように、まったく違うひとたちとペアになってしまった。
残念に思いつつも、仕方がない。そのひとたちと参加したスタンプラリーもそれなりに楽しかったので不満はなかった。
それより夕ご飯のバーベキューのほうが重要だった。バーベキューは大勢でおこなう。よって、グループが固定されてしまうスタンプラリーよりも、多くのひとたちと関われるのだから。
鉄板もアミも、巨大なものがいくつも置かれた。ただ、並べられてではなく、散り散りにである。
そしてどの鉄板を使って焼いたり、あるいは取って食べたりというのは決められていない。
つまり、好きなところへ行って食べることができるのだ。
学園の王子様である渉だ。近くで一緒に過ごしたいという女の子は多いだろうが、少しくらいは一緒に過ごせるだろう。
そういう期待が梓にはあった。同じグループに渉のことが好きな雲雀がいることも手伝って、ちょっと勇気はいるけれど、三年生のいるところへ行ってみようよ、という計画を立てていた。