義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます～たくさんの好きをあなたに～

　男子生徒というなら、さっきまで梓は男子グループと一緒に食べていた。隣のクラスの男子たちと偶然一緒になったのだ。
　偶然。
　本当を言うなら、偶然ではないのだけど。梓たちのグループの秋奈。気にしている男子がそこにいたので、そわそわしていたのだ。
　それで梓たちが気を使って、ではないが「あっちに行ってみようか」とみんなで移動してみた次第。
　秋奈は緊張していた様子だったけれど、でもお目当ての男子と少し会話をして一緒に食べられて、楽しそうにしていた。
　梓はそれを見て、お手伝いができたことに嬉しくなってしまったものだ。
　そのグループとも別れて、今はほかのクラスの少し交流のある子たちと合流したところ。
　渉が女子たちに囲まれているのに自分たちはしゃべれないというのはちょっと寂しくあるけれどまぁ、近くにいられるだけでも。
　そう思いながら、お肉や野菜をつまんでいたのだけど、そのとき不意に渉がこちらを見た。なんと梓と視線が合ってしまう。
　どきっとした。しかもそれだけではなく、「ちょっと、あっち行ってくるな」と女子たちの輪を抜けて、こちらへやってきてくれるではないか。
　まさか、近くにいたとはいえ、女子たちに囲まれている現在、こちらへきてくれるとは思わなかった。もっとどきどきしてきてしまう。