義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
やはり数秒経って、渉は髪を拭いていた手を下ろした。ソファに座った膝の上に、タオルがぱさりと落ちる。
はぁぁ、とためいきがつかれた。それも割合大きなものだ。
「マジかよ……生徒会でも一緒なのか」
その言葉と様子に、梓の心臓がなぜか、よくわからないがずきっと痛んだ。
ほんの少しだけではあったけれど、確かに痛みを感じたのだ。
「い、嫌? 困る? それなら代えてもらって……」
「決まったものを取り消せるのか?」
渉の言葉に梓は詰まってしまう。
「う、……ど、どうだろ」
代えてもらう、というのは都合がいいことのような気がする。仮にも仕事なのだ。それを放り出すなんて責任感がないと思われるだろう。いったん承諾してしまっているのだし。
代えてほしいといえば、代わってくれる女子はたくさんいるだろうけど。でもそういう取り合いを回避するためにくじをしたのだ。その意味がまるでなくなってしまう。
……代えてもらうのは、無理そうだった。
梓のにごった言葉に、渉も同じように思ったようだ。
「決まっちまったなら仕方ないな」とため息をついた。
「まぁ、仕事は仕事だから。妹扱いはしないからな」
そのあと釘を刺された。確かに妹だからと特別扱いをしてはいけないだろう。
別に生徒会の仕事として、厳しいことを言われたり、無理な用事を言いつけられたり、そういうことはないと思う。けれど先輩の言うことをちゃんと聞いて、やるべきことを働いて……というのは必要になってくる。そこは手を抜かない、ということだ。
「わ、わかってるよ」
「そうしとけ」
答えた梓に渉は、にこっと笑ってくれた。
「大変は大変だけど。まぁそのぶんやりがいはあるし……楽しいこともあるし。それに成績にも有利だし、やる価値はあると思う。だから頑張ってみろよ」
渉の言葉と笑顔で、梓の胸に自信がちょっと生まれた気がした。それからやる気も。
「う、うん! 頑張ってみる」
梓のその反応は気に入ってもらえたようだ。渉は嬉しそうに「ああ」と言った。
梓は決意する。
決まってしまったのだ。それならしっかり仕事をするだけだし、渉に迷惑がかからないようにもしたい。
『小鳥遊先輩の妹だから……』なんて言われないようにしないといけないのだ。渉が「仕事だから妹扱いはしない」と言ったのと同じである。
大変だろうけど、渉の言った通り、やりがいはあるのだ。頑張ってみよう。
渉も梓が前向きな気持ちになったのはわかってくれたのだろう。笑みを浮かべていたけれど、ふと、なにかに気付いたような顔をした。
はぁぁ、とためいきがつかれた。それも割合大きなものだ。
「マジかよ……生徒会でも一緒なのか」
その言葉と様子に、梓の心臓がなぜか、よくわからないがずきっと痛んだ。
ほんの少しだけではあったけれど、確かに痛みを感じたのだ。
「い、嫌? 困る? それなら代えてもらって……」
「決まったものを取り消せるのか?」
渉の言葉に梓は詰まってしまう。
「う、……ど、どうだろ」
代えてもらう、というのは都合がいいことのような気がする。仮にも仕事なのだ。それを放り出すなんて責任感がないと思われるだろう。いったん承諾してしまっているのだし。
代えてほしいといえば、代わってくれる女子はたくさんいるだろうけど。でもそういう取り合いを回避するためにくじをしたのだ。その意味がまるでなくなってしまう。
……代えてもらうのは、無理そうだった。
梓のにごった言葉に、渉も同じように思ったようだ。
「決まっちまったなら仕方ないな」とため息をついた。
「まぁ、仕事は仕事だから。妹扱いはしないからな」
そのあと釘を刺された。確かに妹だからと特別扱いをしてはいけないだろう。
別に生徒会の仕事として、厳しいことを言われたり、無理な用事を言いつけられたり、そういうことはないと思う。けれど先輩の言うことをちゃんと聞いて、やるべきことを働いて……というのは必要になってくる。そこは手を抜かない、ということだ。
「わ、わかってるよ」
「そうしとけ」
答えた梓に渉は、にこっと笑ってくれた。
「大変は大変だけど。まぁそのぶんやりがいはあるし……楽しいこともあるし。それに成績にも有利だし、やる価値はあると思う。だから頑張ってみろよ」
渉の言葉と笑顔で、梓の胸に自信がちょっと生まれた気がした。それからやる気も。
「う、うん! 頑張ってみる」
梓のその反応は気に入ってもらえたようだ。渉は嬉しそうに「ああ」と言った。
梓は決意する。
決まってしまったのだ。それならしっかり仕事をするだけだし、渉に迷惑がかからないようにもしたい。
『小鳥遊先輩の妹だから……』なんて言われないようにしないといけないのだ。渉が「仕事だから妹扱いはしない」と言ったのと同じである。
大変だろうけど、渉の言った通り、やりがいはあるのだ。頑張ってみよう。
渉も梓が前向きな気持ちになったのはわかってくれたのだろう。笑みを浮かべていたけれど、ふと、なにかに気付いたような顔をした。