義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
テストと成績と家庭教師
 六月に入って、衣替えとなった。半袖ブラウスにリボンをつけ、下のスカートは素材が薄手のものに変わっただけで形も色も同じである。
 けれどブラウスが半袖になっただけで格段に涼しい。それだけでなく、目にも涼しいと感じられた。
 そろそろ暑い日もちらほらある。もうすぐ夏。吉祥寺に越してきて、慶隼学園に転校して、初めての夏だ。
 暑さはあまり変わらないだろう。なにしろ埼玉は非常に暑いところだった。真夏ともなれば、体温に近いほどに気温が高いこともあるのだ。
 都内はそれと同じか、もしくはそれよりほんの少しはましだと言われているので、暑さに対する心配はそれほどしていなかった。
 それに教室、というか校内はどこもしっかり冷房が効いているのだ。今はまだ、常に入っているわけではないけれど、暑い日はしっかりクーラーを効かせてくれる。
 登校時は日差しの下を歩くので、少し大変かもしれない。しかしそれだって歩いて十分程度なのだ。
 少なくとも、学校生活や登校などで熱中症の心配はあまりなさそうだった。
 今は外のグラウンドでおこなう体育の時間も、夏は体育館などの室内がメインであると聞いていたし。
 なので夏はあまりおっくうではなかったし、それどころか夏休みが楽しみでもあった。気の早いことであるが。
 けれど実質あと一ヵ月半なのだ。視野に入ってくる頃。
 その前に定期テストがあるけれど。まずは六月中旬にある中間テストだ。
 梓にとってはまだ定期テストは数回目。さすがに慣れたけれど、毎回少々苦労している。
 なにしろ、慶隼学園は私立校。レベルも高いのである。
 確かにいい家の子が通う意味での『私立校』でもある。けれどそれだけではない。偏差値もきちんと伴っている。
 なので、悪い成績を取ってしまえば、留年や退学などはないにしても、追試や補習となってしまうのだ。そんなものはできれば受けたくない。
 よって前の学校にいたときよりも勉強を頑張らざるを得なくなった。
 梓は特に成績が悪いとか、勉強が苦手とか、そういうことはない。
 けれど成績上位者であるかといわれれば、そこまででもない。
 国語や社会科などの文系はそこそこの高得点が取れるのだけど、とにかく数学が苦手だった。ついでに同じ理数系の理科も苦手な部類。
 赤点を取ったことはない、けれど小学校にいたときの算数とはわけが違って、百点満点で五十点程度しか取れないこともままあった。
 転校前、埼玉の烏間(からすま)中学校にいたときは、悪い点に落ち込んでも、実のところそれほど気にしているというわけではなかった。なにしろ公立校なのだから、成績が悪くても生活に影響はさほどないからである。
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