義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
 ありがたすぎる申し出であった。学年で五位を取ったこともある渉だ。習えば、そしてそのアドバイスどおりに真面目に取り組めばきっと成績もあがるだろう。
 よって、梓はテスト前に渉の家庭教師を受けながら、そして日々の勉強も意識してしっかり取り組みながら、勉学に対しても努力するようになっていたのである。
 そんな生活が、そろそろ半年に届く。成績も着実にあがっていた。
 範囲などはもうとっくに取り戻したし、苦手な理数系も十点以上、平均的に上がっている。
 冬から学期末、それから春。少しずつあがっていく梓のテストの点数を見て、渉はいつも褒めてくれるのだった。
 「成果が出ているな。いつもの勉強も頑張ってるんだろう」なんて、嬉しそうにテストの用紙をめくってくれる。
 そんなテスト前。今回のテスト期間も、少し前から渉に勉強を見てもらうようになっていた。
 でも渉も当たり前のように自分のテスト勉強があるのだ。つきっきりになってもらうわけにはいかない。渉の勉強時間を奪うようなことはしたくなかった。
 だから平日はほとんど一人で勉強していた。普段の宿題のほかには、渉が選んで勧めてくれたワークに取り組んだ。
 それを解いて、渉のところへ持っていく。それを渉が見て添削してくれる。
 わからないところは質問させてくれるし、間違ったところは直してくれる。その繰り返し。
 土曜日は午前中、数時間、ついてもらえることになっていた。
 テスト前なのだ、二週間ほどではあるが、忙しくなりがちな渉のバスケ部も休みになっていた。
 テストが明ければ試合があるそうなのでまた忙しくなるそうだけど……とりあえず、今は勉強に集中させてくれるというわけである。
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