義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
「じゃあ、今日は先に数学をやろうか」
梓の部屋。学習デスクの横に自分の椅子を持ってきて、渉は隣で見てくれることになった。
朝ご飯を食べ終えて、少し休憩して、午前九時少し過ぎ。これから二時間ほど取り組むことになっていた。
梓は張り切っていた。せっかく渉に見てもらえる時間なのだ。しっかり教えてもらわなければ。
「まずはここ一週間のワークの結果を振り返ろう。梓が苦手なのは……二次関数みたいだね」
「なんだかこんがらがってきて……」
何回か教えてもらっているのに、なかなか理解できないことに恥ずかしくなる。
けれどだからこそしっかり習って、一人で解けるようにならなければいけないのだ。梓は渉が数式を指差す様子をしっかり見つめた。
ペンの先で示して、ときに数字を書いたりしるしをつけたりしながら、渉はわかりやすく説明してくれる。
「ややこしく見えるけど、実はそんなに難しくないんだよ。ここの定数に注目してな……」
ひとつのワークを覗き込んでいるので、距離が近い。不意に、開けていた窓からの風向きが変わったのか、ふわっとなにかが香った。
梓の部屋にあるものの香りではない。
なんだろう。
梓はちょっと考えて、すぐにわかった。
渉から香っている匂いだ。なにか柑橘系の、シトラスのような爽やかな香り。
梓の部屋。学習デスクの横に自分の椅子を持ってきて、渉は隣で見てくれることになった。
朝ご飯を食べ終えて、少し休憩して、午前九時少し過ぎ。これから二時間ほど取り組むことになっていた。
梓は張り切っていた。せっかく渉に見てもらえる時間なのだ。しっかり教えてもらわなければ。
「まずはここ一週間のワークの結果を振り返ろう。梓が苦手なのは……二次関数みたいだね」
「なんだかこんがらがってきて……」
何回か教えてもらっているのに、なかなか理解できないことに恥ずかしくなる。
けれどだからこそしっかり習って、一人で解けるようにならなければいけないのだ。梓は渉が数式を指差す様子をしっかり見つめた。
ペンの先で示して、ときに数字を書いたりしるしをつけたりしながら、渉はわかりやすく説明してくれる。
「ややこしく見えるけど、実はそんなに難しくないんだよ。ここの定数に注目してな……」
ひとつのワークを覗き込んでいるので、距離が近い。不意に、開けていた窓からの風向きが変わったのか、ふわっとなにかが香った。
梓の部屋にあるものの香りではない。
なんだろう。
梓はちょっと考えて、すぐにわかった。
渉から香っている匂いだ。なにか柑橘系の、シトラスのような爽やかな香り。