義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
ふりかけのファスナーを開けて、中身をさらさらとご飯にかける。たまごのほの甘いような香りが漂って、危うくまたお腹が鳴るところだった。
ふりかけもかけてご飯を食べる準備も済んだので、梓はもう一度お箸を取って、お茶碗を持って、ひとくちご飯を食べた。
炊き立てご飯はほかほかあたたかくて、口の中を幸せにしてくれた。自然に微笑んでしまう。
おまけに食卓に並んでいるのは、ご飯だけなはずはない。お茶碗の横にはお味噌汁のお椀が置いてあったし、模様の入った和風のお皿には、ひじきの煮物と玉子焼き、漬け物なんかがそれぞれ入っている。
ひじきの煮物は昨日の残りだ、とわかった。昨日の夜も同じものを食べたから。
けれど玉子焼きは今、焼かれたものだろう。見るからにあたたかそうだった。
お味噌汁だってそうだ。湯気ののぼるそれの具は、どうやら豆腐とわかめ。定番ながら、しっかりと出汁の豊かな香りが漂ってくる。インスタントなどであろうはずがない。
ご飯をひとくち、ふたくち、食べて。次はお味噌汁。お箸を入れて軽くかき混ぜると、ふわっと出汁が踊るのが見えた。
出汁の動くのが見えた日は、どうもかつお節から出汁を取っているようだ、ということを梓は知るようになった。顆粒の出汁ではこうはいかない。
つまり、ご飯もお味噌汁もおかずも、大変手のかかったものだった。
だけどこれは梓のお母さんが用意したものではないのである。
「味噌汁、どう」
自分は漬け物をつまみながら渉が聞いてくる。梓はひとくちすすったお味噌汁の感想を考えて、口に出した。
「おいしい。かつお節の味がする」
「そうか。時間あったから出汁を取ったんだ」
しれっと言ったけれど、つまり、この完璧な和食の朝ご飯を作ったのは彼なのである。
梓はここまでお料理の上手な男の人を知らなかったし、おまけに高校生なのに朝からこんなにたくさんお料理をするというのはもっと驚いてしまった。
けれど彼は週に三日はこんなふうにご飯を作ってくれる。
朝ご飯だけではない。夕ご飯もたまに作ってくれるのだ。
それは彼いわく、「父さんは料理なんてしないから」だそうだ。
「ラクになったほうだよ。『母さん』も料理をしてくれるんだから」とも言っていた。
そう言った渉は確かに嬉しそうだった。料理は好きでも、やはり学校に通っている身で作るのは大変だろうから。
「ほら、さっさと食べろ。あんまり時間ないぞ」
「う、うん」
梓は促されるままに、玉子焼きにお箸を伸ばした。これもほっくりとやわらかく焼かれていて、また、甘い味がして朝からお腹だけでなく心も満たしてくれた。
ふりかけもかけてご飯を食べる準備も済んだので、梓はもう一度お箸を取って、お茶碗を持って、ひとくちご飯を食べた。
炊き立てご飯はほかほかあたたかくて、口の中を幸せにしてくれた。自然に微笑んでしまう。
おまけに食卓に並んでいるのは、ご飯だけなはずはない。お茶碗の横にはお味噌汁のお椀が置いてあったし、模様の入った和風のお皿には、ひじきの煮物と玉子焼き、漬け物なんかがそれぞれ入っている。
ひじきの煮物は昨日の残りだ、とわかった。昨日の夜も同じものを食べたから。
けれど玉子焼きは今、焼かれたものだろう。見るからにあたたかそうだった。
お味噌汁だってそうだ。湯気ののぼるそれの具は、どうやら豆腐とわかめ。定番ながら、しっかりと出汁の豊かな香りが漂ってくる。インスタントなどであろうはずがない。
ご飯をひとくち、ふたくち、食べて。次はお味噌汁。お箸を入れて軽くかき混ぜると、ふわっと出汁が踊るのが見えた。
出汁の動くのが見えた日は、どうもかつお節から出汁を取っているようだ、ということを梓は知るようになった。顆粒の出汁ではこうはいかない。
つまり、ご飯もお味噌汁もおかずも、大変手のかかったものだった。
だけどこれは梓のお母さんが用意したものではないのである。
「味噌汁、どう」
自分は漬け物をつまみながら渉が聞いてくる。梓はひとくちすすったお味噌汁の感想を考えて、口に出した。
「おいしい。かつお節の味がする」
「そうか。時間あったから出汁を取ったんだ」
しれっと言ったけれど、つまり、この完璧な和食の朝ご飯を作ったのは彼なのである。
梓はここまでお料理の上手な男の人を知らなかったし、おまけに高校生なのに朝からこんなにたくさんお料理をするというのはもっと驚いてしまった。
けれど彼は週に三日はこんなふうにご飯を作ってくれる。
朝ご飯だけではない。夕ご飯もたまに作ってくれるのだ。
それは彼いわく、「父さんは料理なんてしないから」だそうだ。
「ラクになったほうだよ。『母さん』も料理をしてくれるんだから」とも言っていた。
そう言った渉は確かに嬉しそうだった。料理は好きでも、やはり学校に通っている身で作るのは大変だろうから。
「ほら、さっさと食べろ。あんまり時間ないぞ」
「う、うん」
梓は促されるままに、玉子焼きにお箸を伸ばした。これもほっくりとやわらかく焼かれていて、また、甘い味がして朝からお腹だけでなく心も満たしてくれた。