義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
『担任の先生』が来る前に、受付の女性が戻ってきた。トレイにお茶の支度が乗っている。
お茶の支度、とはいっても、学校によくある、湯呑みに入った緑茶とかそういうものではない。
なんと控えめに花模様の付いた白い陶器のティーポットと、同じ模様のティーカップがふたつ。トレイに乗っていたのだ。
梓はそこですでにもっと緊張してしまった。
ここは本当に学校という場所なのだろうか。
そこから疑問に思ってしまう。自分のセーラー服がひどく場違いなように感じた。
梓が内心くらくらしている間に、女性は上品な手つきで、慣れているのだろう、スムーズに紅茶を注いでくれた。ほかほかと湯気の立っている薄い茶色の紅茶。ふわっと良い香りが漂った。
梓の前にひとつを出してくれて、もうひとつのカップはその向かいに置かれた。
そこへ、こんこん、とノックの音がする。梓はそちらを向いた。
ドアが開き、一人の男性が入ってきた。当たり前のように、初めて会うひとである。
襟足までの黒髪に、優しそうな目をしているそのひとは、にこっと笑った。
「いらっしゃい、鈴木さん。これから担任になる、四条(しじょう)です」
梓のこれからの生活を導いてくれるのが、この先生ということだ。優しそうなひとであることに、梓はほっとしつつ、席を立った。勢いよくおじぎをする。
「鈴木 梓です! よろしくお願いしますっ!」
梓の様子がとても緊張したものだったからだろう。彼、四条先生はもう一度笑ってくれた。
「リラックスしていいんだよ。これからここが、鈴木さんの学び舎に……。ああ、名字が変わられるのだったね」
言われて、梓はどきりとしてしまう。ごくりとつばを飲んだ。
思い切って口に出す。新しい名前を。来月から名乗ることになっている名前を。
「小鳥遊(たかなし)、梓……です。よろしくお願いします」
お茶の支度、とはいっても、学校によくある、湯呑みに入った緑茶とかそういうものではない。
なんと控えめに花模様の付いた白い陶器のティーポットと、同じ模様のティーカップがふたつ。トレイに乗っていたのだ。
梓はそこですでにもっと緊張してしまった。
ここは本当に学校という場所なのだろうか。
そこから疑問に思ってしまう。自分のセーラー服がひどく場違いなように感じた。
梓が内心くらくらしている間に、女性は上品な手つきで、慣れているのだろう、スムーズに紅茶を注いでくれた。ほかほかと湯気の立っている薄い茶色の紅茶。ふわっと良い香りが漂った。
梓の前にひとつを出してくれて、もうひとつのカップはその向かいに置かれた。
そこへ、こんこん、とノックの音がする。梓はそちらを向いた。
ドアが開き、一人の男性が入ってきた。当たり前のように、初めて会うひとである。
襟足までの黒髪に、優しそうな目をしているそのひとは、にこっと笑った。
「いらっしゃい、鈴木さん。これから担任になる、四条(しじょう)です」
梓のこれからの生活を導いてくれるのが、この先生ということだ。優しそうなひとであることに、梓はほっとしつつ、席を立った。勢いよくおじぎをする。
「鈴木 梓です! よろしくお願いしますっ!」
梓の様子がとても緊張したものだったからだろう。彼、四条先生はもう一度笑ってくれた。
「リラックスしていいんだよ。これからここが、鈴木さんの学び舎に……。ああ、名字が変わられるのだったね」
言われて、梓はどきりとしてしまう。ごくりとつばを飲んだ。
思い切って口に出す。新しい名前を。来月から名乗ることになっている名前を。
「小鳥遊(たかなし)、梓……です。よろしくお願いします」