義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
家族になった日
「はじめまして。小鳥遊 勲(たかなし いさむ)です」
 背が高くて、短い茶色の髪をした中年の男のひと。そのひとに初めて出会ったのは、半年ほど前になろうか。
 初めて会うそのひとは、隣に立った梓のお母さん……鈴木 由美(すずき ゆみ)より年上であるように見えた。そしてそれはそのとおりで、お母さんより七つ上だと、あとから自己紹介してくれた。
 呼ばれたのは豪華な喫茶店だった。喫茶店といっても、広いホールにテーブルや椅子が並んで、お客さんが談笑して……とか、そういうものではない。
 なんと個室だったのである。控えめな花柄の入った白い壁の部屋に、焦げ茶色のテーブルと椅子が置かれていた。
 壁際には重厚な棚や、壺の置いてある台などが置かれていた。窓は金の枠。同じく花柄のカーテンが両脇によけてあった。
 ここは貴族のお屋敷なのかなぁ。
 入ってきてまず梓はそう思ってしまったほど、日常とはかけ離れたものであった。
「す、鈴木、梓ですっ!」
 梓はそのひとに緊張した挨拶をしたものだ。梓のお母さんは、ちょっと困ったように笑った。
「そんなに緊張しなくてもいいのよ。新しいお父さんなんだから」
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