義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
見てしまった『告白』
渡り廊下は屋根があるので直射日光は当たらないけれど、建物の外に出るので、むわっとした熱気が体を包んだ。
さっき窓の中から見ていたときは綺麗だと思っていた夏の様子が、一気に真逆の「嫌だ」という気持ちを生んでしまう。
人間って身勝手だなぁ。みんなこういうふうに感じるだろうこととはいえ。
思って、梓は苦笑した。
でもそんなことを思っていても仕方がないので、速足で体育館へ向かう。体育館の中なら校舎と同じか、それ以上にクーラーが効いているのだ。
なにしろ運動をするところなので、熱がこもりやすいし、暑さも感じやすい。校舎よりも何度か低く設定されているのではないだろうか。
渡り廊下から体育館へ続くホールへ入って、その涼しい空気に包まれる。ほっと力が抜けた。ほんの数分だったのに、暑さに緊張してしまっていたらしい。
さて、第二体育館。第二、とはいえここだって広い。運動や活動に使えるエリア、というか部屋はひとつではない。
違う部活が分けて使うこともあるし、ひとつの部活が全部借りて練習していることもある。だからそのどこに渉がいるのかはわからなかった。
よって、梓は一部屋ずつ見ていくことになる。最初に覗いた部屋ではバレー部が活動していた。
バレー部は前に訪ねたことがあった。なにしろ親友の楓がバレー部なのだ。
まだ一年生だから楓はレギュラーではない。けれど中等部の頃は中等部チームでレギュラーとして活躍していたし、試合に出ていると言っていた。それくらい有望らしい。
今日も覗いた先には楓がいた。練習着を着て、コートで活動している。
カッコよかった。
けれど、今は声をかけるべきときではない。梓はやめておくことにする。
じゃあ次の部屋かな。
梓は思って、その部屋の重い扉をなんとか閉めて、ホールに戻って次の部屋に向かった。少し距離があるので廊下を歩いていったのだけど、通りかかったところ。
ふと、梓はそちらを見てしまった。なにか、……よくわからないけれど、気がそちらに向いてしまったのだ。
でも別になにもない。
なんだろう。気のせいかなぁ。
それとも子猫でもいたのかも。この学園は緑も多いから、たまに野良の猫なんかも見られるし。
そう考えたけれど、どうもそれも違う気がする。知っている猫や動物の気配ではない。
じゃあなんだろう。誰かいるのかな。
けれど呑気に考えられたのはそこまでだった。ぴりっとした緊張した空気が、ふっと梓の皮膚を撫でたので。
それはあまり心地の良いものではなかった。
まさか、倒れてるひとでもいるのかな。
梓はなんだか心配になってしまった。暑いし、ここは運動部の活動するところ。水分や塩分補給が余計に大切な体のひとが多く集まるところだし、まさか、それで倒れてしまったひとがいるのでは。それで緊張した空気になっているのでは。
一気に心配になった。それであれば見過ごすことなんてできないではないか。
誰もいなければそれでいい。勘違いだったと、さっさと戻ってしまえばいい。
梓はそんな、心配はしつつも軽い気持ちでそちらに入っていった。
さっき窓の中から見ていたときは綺麗だと思っていた夏の様子が、一気に真逆の「嫌だ」という気持ちを生んでしまう。
人間って身勝手だなぁ。みんなこういうふうに感じるだろうこととはいえ。
思って、梓は苦笑した。
でもそんなことを思っていても仕方がないので、速足で体育館へ向かう。体育館の中なら校舎と同じか、それ以上にクーラーが効いているのだ。
なにしろ運動をするところなので、熱がこもりやすいし、暑さも感じやすい。校舎よりも何度か低く設定されているのではないだろうか。
渡り廊下から体育館へ続くホールへ入って、その涼しい空気に包まれる。ほっと力が抜けた。ほんの数分だったのに、暑さに緊張してしまっていたらしい。
さて、第二体育館。第二、とはいえここだって広い。運動や活動に使えるエリア、というか部屋はひとつではない。
違う部活が分けて使うこともあるし、ひとつの部活が全部借りて練習していることもある。だからそのどこに渉がいるのかはわからなかった。
よって、梓は一部屋ずつ見ていくことになる。最初に覗いた部屋ではバレー部が活動していた。
バレー部は前に訪ねたことがあった。なにしろ親友の楓がバレー部なのだ。
まだ一年生だから楓はレギュラーではない。けれど中等部の頃は中等部チームでレギュラーとして活躍していたし、試合に出ていると言っていた。それくらい有望らしい。
今日も覗いた先には楓がいた。練習着を着て、コートで活動している。
カッコよかった。
けれど、今は声をかけるべきときではない。梓はやめておくことにする。
じゃあ次の部屋かな。
梓は思って、その部屋の重い扉をなんとか閉めて、ホールに戻って次の部屋に向かった。少し距離があるので廊下を歩いていったのだけど、通りかかったところ。
ふと、梓はそちらを見てしまった。なにか、……よくわからないけれど、気がそちらに向いてしまったのだ。
でも別になにもない。
なんだろう。気のせいかなぁ。
それとも子猫でもいたのかも。この学園は緑も多いから、たまに野良の猫なんかも見られるし。
そう考えたけれど、どうもそれも違う気がする。知っている猫や動物の気配ではない。
じゃあなんだろう。誰かいるのかな。
けれど呑気に考えられたのはそこまでだった。ぴりっとした緊張した空気が、ふっと梓の皮膚を撫でたので。
それはあまり心地の良いものではなかった。
まさか、倒れてるひとでもいるのかな。
梓はなんだか心配になってしまった。暑いし、ここは運動部の活動するところ。水分や塩分補給が余計に大切な体のひとが多く集まるところだし、まさか、それで倒れてしまったひとがいるのでは。それで緊張した空気になっているのでは。
一気に心配になった。それであれば見過ごすことなんてできないではないか。
誰もいなければそれでいい。勘違いだったと、さっさと戻ってしまえばいい。
梓はそんな、心配はしつつも軽い気持ちでそちらに入っていった。