義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
でも楓は賢く、そしてそれ以上に優しかった。
「いろんな『好き』ができると思うよ。だって、小鳥遊先輩は魅力的なところがたくさんあるし、それは私より先輩に近い梓ちゃんのほうがたくさん知ってると思うし……。そんなひとと、出会って一緒に過ごして関わっていったら、『好き』の感情なんて生まれても当たり前だと思うよ」
じんわりと梓の内に染み入る、その言葉。
それによって、梓の心に溜まっていたものは自然に出てきた。
「『好き』ってなんだろうね。……よくわからなくて……」
そう、よくわからない。『好き』という感情すらなんなのかわからなくなりそうだ。
「難しいよね。ひとつじゃない場合はもっとわかりづらいし。いっぱいありすぎると、『これ』ってひとつ名前をつけるのは無理かもしれないよ」
楓の言うとおり、感情とは複雑なものだ。
もちろん単純なものもある。
たとえば、梓の大好きないちご。
それは『食べればおいしいから好き』だ。
でも一番の理由はそれかもしれないけれど、実はそれだけではない。
だって梓は『見た目がかわいいから好き』とか、『色づいていくのを見るのが楽しみだから好き』とか……たった一粒のいちごに対する『好き』だって、いっぱい理由はあるのだから。
ましてやそれが、人間が相手であれば、そんなものは数えきれないほどあって当たり前だったのかもしれない。
「それのひとつに『恋』があってもそれは自然だと思うな」
なんとなくそちらに行くとは思っていたけれど、言われれば恥ずかしくなってしまった。
気まずい、とか、ヘンだと思われるんじゃないかという心配とか、そういうものよりも。
楓の優しい言葉がそれを拭ってくれたのだ。
否定しないよ、と。
「『お兄ちゃん』なのに?」
確認するように言ってしまった。けれど楓はためらうことなく首を振る。
「だって、梓ちゃんと小鳥遊先輩は義理の兄妹でしょ。おかしくないよ」
「いろんな『好き』ができると思うよ。だって、小鳥遊先輩は魅力的なところがたくさんあるし、それは私より先輩に近い梓ちゃんのほうがたくさん知ってると思うし……。そんなひとと、出会って一緒に過ごして関わっていったら、『好き』の感情なんて生まれても当たり前だと思うよ」
じんわりと梓の内に染み入る、その言葉。
それによって、梓の心に溜まっていたものは自然に出てきた。
「『好き』ってなんだろうね。……よくわからなくて……」
そう、よくわからない。『好き』という感情すらなんなのかわからなくなりそうだ。
「難しいよね。ひとつじゃない場合はもっとわかりづらいし。いっぱいありすぎると、『これ』ってひとつ名前をつけるのは無理かもしれないよ」
楓の言うとおり、感情とは複雑なものだ。
もちろん単純なものもある。
たとえば、梓の大好きないちご。
それは『食べればおいしいから好き』だ。
でも一番の理由はそれかもしれないけれど、実はそれだけではない。
だって梓は『見た目がかわいいから好き』とか、『色づいていくのを見るのが楽しみだから好き』とか……たった一粒のいちごに対する『好き』だって、いっぱい理由はあるのだから。
ましてやそれが、人間が相手であれば、そんなものは数えきれないほどあって当たり前だったのかもしれない。
「それのひとつに『恋』があってもそれは自然だと思うな」
なんとなくそちらに行くとは思っていたけれど、言われれば恥ずかしくなってしまった。
気まずい、とか、ヘンだと思われるんじゃないかという心配とか、そういうものよりも。
楓の優しい言葉がそれを拭ってくれたのだ。
否定しないよ、と。
「『お兄ちゃん』なのに?」
確認するように言ってしまった。けれど楓はためらうことなく首を振る。
「だって、梓ちゃんと小鳥遊先輩は義理の兄妹でしょ。おかしくないよ」