義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
恋の気持ちはあたたかく
 その夜はなんだか長かった。梓はしっかり布団をかぶって、はぁ、とため息をついてごろんと寝返りを打った。
 クーラーが効いているので部屋の中は涼しくて快適だ。
 けれどなんだか体の中が熱いような気がした。
 熱が出ている、とかではない。そうではなく、お腹の中に光が発光しているようにあたたかいのだ。
 このあたたかさの正体は、きっといくつかあるのだと思う。
 あれから生徒会室に帰ったけれど、当たり前のように『おつかい』としては大変遅くなってしまったので、帰るなり金糸先輩に「どうしたの、こんなに時間がかかって」と言われてしまった。
 けれど、あれだけ泣いたあとなのだ。具合が悪かったように見えたらしい。
 金糸先輩はすぐに「具合でも悪くなったの?」と聞いてくれた。
 嘘をつくようだったけれど、具合が悪かったのは事実だ。体の、ではなく、心の、だけど。
 なので、悪いとは思ったけれど、そういうことにしておいた。
「は、はい……ちょっと気分が悪くなって……偶然友達に会ったので、休憩室で休ませてもらっていて……ごめんなさい」
 後半は本当だった。気分が悪くなった、というのも半分くらいは本当であるが。
「そうなの。確かに顔色が良くないわね。もう帰ったほうがいいわ」
 それでそのまま帰されてしまった。顔色が悪いのは泣いたからだろうが、やはり『体調不良からそうなった』ということにさせてもらった。
「一人で帰れるかな。誰かに送っていってもらおうか?」
 そんな優しいことすら言ってもらえたけれど、体調は特に悪くないのだ。梓は「近いから平気です。なにかあったら家に電話します」と辞退しておいた。
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