ずっとあなたが好きでした。

＊



「あ、あの…本当にごめんなさい。」

「え、いえ……」

気まずい。
最高に気まずい。



今日の合コンでは、なんと三組のカップルが成立した。
つまり、男性、女性各１名ずつが溢れたということだ。



「広瀬、恥ずかしがらずに愛美（まなみ）ちゃんに申し込めば？」

「え、ぼ、僕は……」

（馬鹿！一人だけ誰からもアプローチがなかったら、カッコつかないだろ！）

宮本が僕の耳元に囁いた。



そういうことか、と僕は理解した。
大西愛美さんは、他の三人に負けず劣らず可愛い顔をしている。
ただ、多少、口数が少ないというのか、おとなしい感じはしていた。
それが原因で溢れたのかどうかはわからないけど、僕なんかと釣り合う人じゃない。
だから、断られることはわかっていたけど、彼女の体裁を繕うために、僕は声をかけた。



「あ、あの…もし、良かったら…
なんて、無理ですよね。
僕なんか…」

「はい。喜んで……」

「……え？？」

一瞬、わけがわからず、僕は間抜けな顔をして立ち尽くしていた。



「おぉ～！やった～！
今日は、全員カップル成立～！」

ほろ酔い加減の宮本達が、拍手をしたり口笛を吹いて、僕達を冷やかす。
そして、皆で二次会に行こうという話になったのだけど、愛美さんは疲れたから帰ると言い出したので、僕も帰ることにした。
だから、当然、二人きりになって…
10分もかからない駅までの距離が、とんでもなく気まずい雰囲気になってしまったんだ。