ずっとあなたが好きでした。
多分、愛美さんは、今日の映画が本当に楽しくて、映画に目覚めてしまったんじゃないだろうか?
だけど、周りには映画ファンの友達がいないから、僕を必要としている。
そういうことじゃないかな?
そう考えれば、辻褄が合う。



つまり、僕は端から相手にはされていない。



(……そうだよな。そうに決まってる。)



世の中、甘くはないんだ。
僕みたいにつまらない男が、あんな可愛い人に好かれるはずがない。



(可愛い人……)



そう思った時、なぜだか翔子のことが頭を過った。



(翔子……)



せっかく再会したのに…



いや、翔子は悪くない。
それに、僕と翔子はただの幼馴染だ。
これじゃあ、まるで僕が嫉妬してるみたいじゃないか。



(あ……)



そうだ!
翔子と、LINEを交換したんだ。
スマホを取りだし、LINEを開くと、そこに翔子のLINEは存在した。
それを見ただけで、なんだか不思議と胸が弾んだ。



指が動きかけて、そして止まった。



何も気にすることはない。
久しぶりに会った幼馴染にLINEをすることは、何の問題もないじゃないか。
翔子に彼氏がいても、そんなことは関係ない。
なぜなら、僕と翔子はただの幼馴染なんだから。



(うん、そうだ。
気にすることなんてない。)
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