ずっとあなたが好きでした。
side 翔子
(ま、まさか……!?)



心臓は早鐘を打ち出し、私は思わず、物陰に身を潜めた。
そして、じっと目を瞑って考えた。



どうして?
隠れる理由なんて、何も無いのに、私はどうして隠れたりするの?
急にそんなことを思うとなんだか腹が立って来て、私は無理に顔を上げ、その場所から出た。



(いない……)



あたりを見渡し、私はほっと溜め息を吐いた。
馬鹿みたい。
ただの見間違いなのに、こんなにドキドキして……



そう、こんなところに潤がいるはずなんてない。
彼は、もう何年も前にこの町を出たと聞いた。
私もこの町には、せいぜい半年に一度くらいしか来ないし、たまたまそんな日に、潤がここに来てるなんて、そんな偶然があるはずない。



(私って、本当に馬鹿だ。)



ほっとしたら、なんだか気が抜けて…私は、コーヒーショップに足を向けた。
コーヒーでも飲んで、一息吐きたかったからだ。
それほど、さっきの見間違いには動揺してしまったってことで…
そんな自分を嫌悪した。



(あぁ、美味しい。)



熱いコーヒーをすすったら、ようやく気持ちが落ち着いた。



(あ、大変!早く行かなきゃ…!)



壁の時計を見たら、意外と時間が過ぎていた。
急がなきゃ。
叔母が私を待ってるから。
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