ずっとあなたが好きでした。
あぁ、こんなことなら、カフェじゃなく、バーにでも行けば良かったか。
お酒の力を借りたら、もっとうまく喋れたかもしれない。



っていうか、僕は愛美さんとまだちゃんと付き合ってないってことを言いたいのか?
どうして?
なぜ、そんなことを言う必要がある?



「潤……どうかしたの?」

「え?あ、あぁ…」

なんて言おうかと悩んでいた時、ちょうどケーキが運ばれてきた。



「お、翔子のタルト、すっごい派手だな!
フルーツてんこ盛りで美味しそうだな。」

「思ったより大きいね。」

そう言いながら、翔子は中央のいちごをフォークで突き刺し、それを僕の口元に差し出した。



「あ、ありがとな。」

僕はドキドキしながらも、素直にそのいちごを頬張った。
その瞬間、僕は古い記憶にリンクした。



このシーン、前にもあった。
翔子がケーキのいちごを僕にくれて、僕はそれを頬張って…



「今もいちご好きなんだ…」

「う、うん。まぁな。」

そう答えたけれど、実は本当はそうでもなかった。
覚えてはないけれど、多分、子供の頃の僕は、いちごが好きだったんだろう。
だから、翔子はいつも僕にいちごをくれたんだ。



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