ずっとあなたが好きでした。




(どうしたんだろう?)



結局、あれから翔子はタルトも残して…
なんだかよくわからないままに、帰って来た。



思い当たるのは、僕がガトーショコラを食べさせようとしたことくらいだ。
あの直後から、翔子の様子がおかしくなったから。
だけど、何が悪かったんだろう?



どんなに考えても理由がわからない。
それまでは、ごく普通に話していたのに。



『潤、さっきはどうもありがとう。
今日は楽しかったよ。』



翔子から届いたLINEは、これまたごく普通の内容だった。
そのことで、僕はますます混乱した。



どうしよう?
さっきのことを訊いてみようか?
でも、翔子がまともに答えてくれるだろうか?
なんでもないって、はぐらかされるんじゃないだろうか?
それに、訊くことで、さらに翔子の機嫌を損ねてしまうかもしれない。
そう思うと、やはり訊けない気がした。



『こちらこそ、どうもありがとう。
僕も楽しかった。』



訊きたいことは胸に秘め、ごくありきたりな返信を返した。



その後は、何も来なかった。
翔子の気持ちはまるでわからず、もやもやしたまま眠りに就いた。
< 65 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop