ずっとあなたが好きでした。
「馬鹿…あの話ならとっくに断ったよ。」

「え…い、今、なんて!?」

「だから~…
あの話は断ったって言ったんだ。」

「ど、どうして!?
社長の娘さんと結婚したら、出世だって、お金だって手に入る。
お母さんに楽な暮らしだってさせてあげられるのに!」

私の言葉に、亮太は眉をひそめた。



「俺は、社長の娘と結婚しなくても、自分の力で出世もするし、母さんに楽な暮らしもさせてやるよ。
……それだけじゃない。
愛美…お前を必ず幸せにする。」

「……亮太……」

胸がいっぱいになってしまった。



亮太は、私を選んでくれた。
私なんかと結婚しても、メリットなんて何もないのに、それなのに、亮太は私を選んでくれた。



「愛美…どうか、俺と結婚してくれ。」



その言葉に抗うことなんて出来なかった。
私は何度も頷いて…



亮太が私の手を取り、薬指に指輪をさしてくれた。
私の指で、指輪は煌めく。



あぁ、ここのところ、私は何をしていたのだろう…
亮太の電話番号を着信拒否して、亮太が家に来た時は、友達に出てもらった。
この部屋の人は引っ越して、今は私が住んでいます、と、芝居までさせて…
そして、亮太のことを忘れるために合コンに出て、無理やり好きな人を作ろうとして…



(潤さん…ごめんなさい…)
< 71 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop