ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
「創くん、見たことない?双葉もう何回も来てるのに。」
「ない!あんな塩顔イケメン見逃すはずないもん!」
「零士さんに夢中で、センサーバグってたんじゃないの?」
「シッ、馬鹿!」
ヒソヒソと小声で話していると、突然双葉に腕を持っていかれ、零士さんに背を向けた。
「てか、この後映画でも誘おうかと思うんだけど、どう思う?」
「知らないよー。行けばいいんじゃない?」
「私から言うとがっつきすぎかな?言われ待ちすべき?」
「別にそんなこと思わないよ。」
なんだかこういう会話は懐かしい。久しぶりの感覚に、思わず学生時代を思い出した。
すっかり外は、木枯らしの吹く季節。
結局、2人は映画へ行くことになり、口元がにやけて止まらない双葉を見て笑いながら、お店の前で送り出した。
「零士さん。案外満更でもなさそうだし、これは上手くいくか?」
なんだかいい雰囲気の2人。
マフラーに顔を埋めながらじっと見つめ、満足げに一人そう呟いていた。