ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
でも、創くんが住む前に一度綺麗にしたらしく、絵を描いていたとは思えないほど綺麗な部屋。
タダで借りるには十分すぎる場所だった。
「でも、タダで住まわせてもらうなんて、気が引けちゃうなー。」
一通り室内を見て回りながら、ポロッと溢れる本音。
「いや、水道代とか光熱費は払ってもらいますよ?」
「それはそうなんだけど.....。」
「どうせ瀬川さんが住まなかったところで、放置してた家なんで。気にしないでください。てか、親切の押し売りみたいになるから、断りづらくて住むとかやめてくださいね?」
なんだか、そう言われる余計に気が引けた。
断れば、せっかくの厚意を無下にしてしまいかねない。でも、住むとなっても、それはそれで気が引ける。
悩ましいところだった。
「てか、新しい仕事探すつもりだったんですよね?それまでの繋ぎって事でもいいですよ?」
「え?」
「住んだらずっと居なきゃダメなんて言わないので。まず、ホテル暮らしとか勿体ないし。」
最後の一押しに、結局負けてしまった。
特に次の部屋も決まっていないし、ホテル暮らしは言う通りお金がかかる。この話は、私にとって一つも損のない、むしろ得しかない。
今回はひとまず、甘えさせてもらうことにした。