ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
「元気出た。ありがと。」
自然と笑みが溢れ、私は麦茶を一気に飲み干し、大きく息を吐いた。
話してよかった。
心からそう思い、前よりも随分楽に呼吸ができるようになった気がした。
「あ、焼肉。」
「え?」
「食べたいものです。奢ってくれるんですよね?」
和んだ空気から一転。思い出したように言う創くんの口から飛び出した重めのワードが、ウッと胃にのしかかる。
「私、まだそれ一食目なんだけど.....。」
「俺もです。」
「うわー、そうなのねー。若いなー。」
顔を引きつらせ、立ち上がる彼を恐る恐る見上げる。
「行きますよ。大して年、違わないんじゃないんでしたっけ?」
しかし、最後は一発KO負け。
何も言い返せなくなるくらいの渾身のパンチを食らい、思わず笑えてきた。
「そういえば、そうでした。」
私は財布を手にとり、さっさと靴を履いて出かけようとする彼を追いかけた。