ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
「瀬川さんが言うには、結婚が出資の条件だったわけですよね?だったら普通、婚姻届出しません?条件にした意味がないじゃないですか。」
「いや、そう言われても.....」
「それに、両親の圧から逃れるためにも、向こうは誰とでもいいから結婚したかった。だったら、わざわざ出したフリなんてする意味が、よく分からないんですけど。」
正直、創くんの言うことは的を得ていた。
それはずっと、私が引っかかっていたことだったから。
父と結託していたと知り、あの家を出た日。結婚していないことを告げられた。
結局、彼の行動は理解できないと、はなから知ろうともせず、考えることをやめた。訳がわからないの一言で、片付けてしまった。
でも、その理由を突き詰めれば、私にだって疑問は残る。
モヤモヤする気持ちは、同じだった。
「あと、もう一つ。」
探偵にでもなりきっているのか。彼は一人で、まだ謎は残ると言い出し、勝手に語り出す。
「その人と瀬川さんが会ったのも、偽装結婚の話が出たのも、まだ前のお見合いの話が生きてた時なんですよね?」
「ん?んー、たしかそう。お見合いの話が嫌で、飲みに行ったバーで会ったから。そうね。」
「でも、それならなんで、全部お父さんの差し金だって思ったんです?つじつまが合わない気がするんですけど。」