ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
「私、薄々気づいてたのよ。あなたたちの関係。もしかしたらって、本当になんとなくなんだけど。」
「え......。」
「パーティーで会った時、それに昨日の2人。嫌ねえ、年の功って言うのかしら。 何かあるような気がして。」
聖子さんは、ハッキリとは言わなかった。
けれど、きっと分かっている。
私たちの関係が偽りであることに、勘づいているようだった。
「やっぱり、そうなのね。」
複雑な思いを胸に黙り込んでしまうと、聖子さんは察したように切ない表情を浮かべる。
息子の結婚が、実は偽装だった。
そんな話、誰だって悲しいに決まっている。私は、残酷な事実を、彼女に突きつけてしまったのだ。
「すみませんでした。」
――千秋のこと、頼みますね
パーティーの日。聖子さんに言われた言葉を思い出し、どうしようもなく居た堪れない気持ちになった。
「ううん、違うの。謝るのは私の方。」
しかし、聖子さんはなぜか落ち着き払った様子でいた。
「きっと、全部私のせいね。小さい頃からずっと放ったらかしにしてきたから、ひとつくらいは母親らしいことがしたくて.....。でも、あの子にとっては、取ってつけたようにしか見えなかったのかもしれないわね。今更、結婚のことにだけ出しゃばってくるような母親なんだから。」
「そんな.....」
「いいの。でも、そのせいで、あなたのことも巻き込んでしまったんでしょう?本当にごめんなさい。」