ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
すると、そう言って最後には頭を下げてきた。目の前で起きたことに頭が追いつかず、私は心底驚いた。
結果的に嘘をついていたのは、私たちの方。それなのに原因を作ったのは自分だと責めて、そんな姿を見せられたら、心が痛くて仕方がなかった。
こんなの、私を責めてくれた方がずっとマシだった。
「違うんです。」
耐えられず、突発的にそう声を出した。
彼が隠し続けてきた私たちの関係。家を出た私を、わざわざ呼び戻してまで、ご両親に隠したかった関係。
時期を見て話すとは言っていたものの、もう隠してはいられなかった。
「千秋さんの本心は分かりません。でも、巻き込まれたわけじゃないんです。むしろ、私の方が助けられてたんです。」
顔を上げ、驚く聖子さんを見て、思わず目を逸らす。
不安げな表情を浮かべながら、膝に置いていた手にギュッと力がこもった。
「私、実は父に勘当されてたんです。他にも色々あってからヤケになってて、人生どうでもいいって、そう思ってました。でも、そんな私に、千秋さんが居場所を与えてくれたんです。そばに居てくれて、幸せだって思わせてくれて.....。」
その瞬間、グッと込み上げてくる切なさ。
力のない笑みを浮かべ、鼻からスーッと息が抜けていった。