ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
「その犬って、ドーベルマン.....?」
しかし、私は違った。その話を聞いた瞬間、サーッと血の気が引く思いで、急に真剣な顔になった。
「えっと、ごめんなさい。胡桃、犬の種類までは....」
「あー、そうだよね。」
私は慌ててそう言いながら、自分の携帯で写真を漁り出す。しばらく不思議そうにこちらを見ていた2人を無視して、必死になっていた。
「じゃあ、こんなの?」
それから、ある写真を見つけ出し、彼女の前に画面を見せる。彼女の反応を待つ間、内心ドキドキと緊張していた。
すると、胡桃ちゃんは首を大きく縦に振る。目を輝かせ、その画面に向かって指をさした。
「んん!それっ、多分それです!真っ黒いの2匹いました!」
「やっぱり......。」
「え、でも、その写真って――。」
何かを言いかける彼女。しかし、複雑な思いがよぎる私には、最後までその言葉は届いてこなかった。
真剣な顔をして、そのままインターネットを開きながら、あるページに飛ぶ。そこにあった写真を拡大すると、意を決して、もう一度彼女に画面を見せた。
「じゃあ、この人は?」
私は、この推測が間違っていることを願っていた。
違うと言ってほしい。否定してほしい。今、頭に浮かべている可能性は、私の思い過ごしであってほしい。
そう思いながら、緊張に手が汗ばむ。
胡桃ちゃんの反応に注目しながら、呼吸がだんだんと浅くなっていくのが分かった。