ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
私は、その場を立ち上がった。父の目も、母の目も見られず、涙を浮かべた。
「本気なのか。」
寝室へ戻ろうとする私に、静かに言う父。こちらを見ているかも分からないけれど、声を出したら泣いてしまいそうで、歯を食いしばって頷いた。
「出ていきなさい。」
すると、重い重い言葉が降ってきた。
「家族のために、結婚もできないような親不孝な娘は、この家にはいらん。他の男と結婚すると言うなら、勘当だ。私の前に二度と現れるな。」
先に、桜が泣いた。
そして、母が泣いた。
心臓の音だけがやけに大きくなり、耳鳴りがする。
何も言えず、寝室へと走った。泣いて、泣いて、泣きながら、必要なものは全てトランクに入れた。